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pianist kazの食卓 美食とシャンパンが好きなあなたへ。

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体には良くないとされている食べ物がある。塩分の高いもの、脂分が多いもの、などなど。仮に、体に悪いけど美味しいものがあったとする。質問は、体に悪いとされるものを食べて与える体へのダメージと、美味しいけど食べられないというストレスが与える体へのダメージはどちらが大きいのかという話。

昨今、やたら減塩と言われているけど、そうなると本来の食べ物の美味しさって無くなってしまうのでは?僕の料理は味がどちらかというと濃く、はっきりしている。その方が好みだから。味がしっかりついている食べ物というのはそういう個性であって、そこから減塩を理由に味を薄めてしまうという事は、その食べ物の持つ個性を失わせ、そうなるとその食べ物の存在理由が無くなる。

例えば、ザーサイや塩辛は塩っぱいから美味しい。ザーサイを長時間塩抜きして出したものなど、ザーサイ本来の旨味がそこで失われる。かけそばのつゆも、ラーメンのスープも、お湯のような薄味では美味しくない。

その食べ物の味が濃いか薄いかというのは、慣れによっても左右され、薄味の家庭に育ったりしていれば、ちょっと濃いめのものでもものすごく濃いと感じるし、その逆もある。しかしながら、あまりにも減塩減塩と騒ぎ過ぎて、美味しくもなく、インパクトも無く、人の頭に残らない食べ物は駄目だと僕は思っている。

15年ほど前、台湾に旅行に行った時、父の同級生の指揮者が病に伏せ、ベッドの上にいた。我々が台湾を離れて数ヶ月後に亡くなった。そのとき、その指揮者は、「日本の寿司が食べたい」と言っていたそうだが、その奥さんは、病人の体の事を考え、それを拒否した。もうあとわずかで死亡するであろう病人に、好きなものを食べさせてあげる事がそこまで罪な事なのか?その体に悪い食べ物を食べて1時間寿命が縮んだとしても、病人にとっては少なくとも喜ばしかったのではないか? 延命延命と病人を苦しませ続ける事が果たして残酷とは言えないのか?食べたいものを食べられないストレスが寿命を縮める可能性は無いのか?

「食」という字を見ると、人 良 と書き、人が良い状態である事を指す。世界の国の中には、食べ物を重要視しない国も多くあるが、毎食の楽しみを持つ事は重要だと僕は考えている。

あまりにも健康の事ばかり考え、美味しいものを食べられないというストレスは、僕にとっては何よりも体に悪い。あるネットの記事で、病院の食事の事が書いてあった。病院食を作る栄養士が、自分達が作った食事を患者が残し、あとでカップラーメンを美味しそうに食べているのを見てショックだったという話。僕はこれを聞いたとき、この栄養士はそんなことさえ気がつかなかったのかとショックを受けた。病院食というのはもしかしたら刑務所の食事より酷いのではないか、、、。

病院はhospitalと呼ぶ。ホスピタリティーの意味からすれば、普段よりも良い食事を与えて然るべきではないか。どうしたらああいうまずい食事が作れるのか?それでなくても病気で気がめいっている時に、患者はせめて食事だけでも美味しいものを出して欲しいと願うはず。ますます生きる気力を無くさせるような食事を出しているような気がしてならない。

食べ物は、健康を考えて作ったり、メニューを考えたりする。そこまではOK。しかし過剰になりすぎ、食べ物の本来の美味しさを損ねたり、つまらない、まずい食事でストレスが溜まるのはもっとよくない。食べ物は「美味しい」と感じなければ意味が無い。

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札幌在住のpianist、kazと言います。単なるレシピ保存の場所ですが、毎日の食事にヒントを得てくれれば幸いです。キャテゴリーのItaly visit より上は全て手作りです。
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